活動

2018年8月28日

2018年7月23~25日に行われた第3回領域会議・第1回国際シンポジウムについて若手からのコメントが届きました

第1回国際シンポジウム・第3回領域会議 感想

東北大学大学院農学研究科 応用生命科学専攻
動物生殖科学分野 博士前期課程2年
酒井 和哉

2018年7月24日と25日の2日間、京都大学にて開催された第一回国際シンポジウム「Toward Understanding “INDIVIDUALITY”」に参加しました。「個性」創発脳の領域イベントとしては第一回領域会議、第二回領域会議に続いて3度目の参加となりましたが、回を追うごとに領域内での連携の強まり、学際融合的研究としての進展を実感し、当初は概念的であった「個性」が段々と具体化、客観化されていることを感じました。今回は第一回目の国際シンポジウムということで、invited speakerの先生方のご講演をはじめとした国内外の最先端研究を知ることのできる貴重な機会となりました。「個性」をどこに見出し、それを如何に捉え、如何に定量化するかという点において実に多彩な戦略を知ることができ、感銘を受けるとともに大変勉強になる2日間でありました。

また、今回はポスター発表の機会を頂き、様々なバックグラウンドをお持ちの先生方から貴重なコメント・アドバイス、あるいは激励の言葉を数多く頂きました。学際融合的な研究を進める上で自身の専門外からの意見を頂けることは非常にありがたく、特に脳神経系の発生を主体として研究されている先生方からのコメントは今後の研究方針を具体化する上で大変参考になりました。

私自身はまだまだ右も左もわからぬ若輩ですが、今回のシンポジウムで得た経験を糧に「個性」の理解に少しでも貢献できるよう研鑽し、次回の領域会議ではよりよい成果を発表できるよう気を引き締めて日々の研究に臨もうと思います。次回の領域会議が開催される香川県は私個人としては未訪問の地なので、より進展した「個性」研究に出会えるであろうことも含め、今から楽しみにしております。末筆ではございますが、領域代表の大隅先生をはじめ、シンポジウムを企画・運営してくださった皆様、貴重なお話をいただいた先生方へ深く感謝申し上げます。

第1回国際シンポジウム・第3回領域会議 感想

京都大学 生命科学研究科 高次生命科学専攻
脳機能発達再生制御学 修士課程1年
長崎 真治

「個性というものは、個々の細胞における様々な遺伝子の発現レベルにより、基盤が築き上げられ、外部からの入力により変動させられながら創発するものだと私は考えております。」

今の私の考えをわかっているかのように述べてみましたが、実のところ、私だけではなく、世界の誰も「個性」というものが果たしてどういったものなのか科学的に説明できる人はいません。

例えば、「勇敢」という個性の表現型の1つは、(これを個性の表現型として定義していいのかですら分かりませんが、) 一体どのようなデータを用いて、科学的に定義できるのでしょうか。また、仮に「勇敢」という表現型を科学的に定義できたとしても、それを生み出す神経系の分子メカニズムは1つとは限らず、「勇敢」という表現型としては同一だけれども、分子メカニズムとしては各個体間において数え切れないほどの種類があるかもしれません。逆もまた然りで、「勇敢」と「臆病」という一見すると大きく異なっている表現型でも、非常に近い分子メカニズムで生み出されている可能性もあると思います。

以上のように、「個性」というものを科学的に捉えようとすると、私が主に専攻している生物系の学問だけでは難しく、人文社会系や理工系などの学問を総動員し、多様な分野による研究が必要だと思います。

その点において、今回の国際シンポジウム・領域会議は多様なバックグラウンドの先生方がお集まりになり、質疑応答も多面な観点から飛び交い、本領域が目指す「知の集合体」であったと感じています。また、今回のような多様な分野の最前線の研究に触れることのできる機会は、異分野の研究者同士を結びつける研究が生まれることは勿論のこと、自分一人の脳内においても異分野が融合していくきっかけとなりました。

特に、従来のデータ解析では抽出することのできなかった個体間での差異を、パラメーター推定手法やモデル選択法を検討することで抽出できる可能性があるという(私にとっては異分野の)研究が個人的に魅力的でありました。

いつか、「個性」創発という現象が、0から10まで (100まであるかもしれませんが、)科学的に解明できる日が訪れることを夢に見て、また、私もその人類の偉大なる目標に寄与できる研究者になれるよう努力をしていきたいです。

最後になりましたが、学生の私にとっても貴重な機会を与えてくださった本領域の先生方に厚くお礼申し上げます。