活動
2018年11月28日
国際連携活動報告:Columbia University(USA)訪問記
東北大学大学院医学系研究科
発生発達神経科学分野
助教 吉川 貴子
2018年8月21日から8月30日まで、アメリカ・ニューヨークにあるColumbia UniversityのZuckerman Instituteを訪問しました。この研究所のCarol A. Mason教授のもとで10日間お世話になりました。Carol A. Mason教授はretinal ganglion cellという網膜の神経細胞の発生を担う分子メカニズムを研究されており、2013-2014年に北米神経科学学会会長を務められた先生でもあります。脳発生における幹細胞の分化運命を決定する分子として我々が着目している分子が、実は網膜でも働くことをCarol A. Mason教授が発見され、共同研究を行なっていたことがきっかけで今回の訪問に至りました。
滞在中は、これまでの共同研究を進めるとともに、細胞のイメージング技術について学びました。この研究所には顕微鏡のファシリテーターがおり、疑問点や要望があればコンタクトを取って、自分の思い描く画像を取得できるように一緒に作業をしてもらえます。3D画像構築のコツやデータ処理について学ぶことが多く、こういった専門家の方がいると、研究は加速度的に進むと実感した次第です。また、研究所内でのセミナーの機会も頂きまして、多くの研究者からたくさんのアドバイスをいただくとともに、非常に密なディスカッションを行うことができました。/p>
Carol A. Mason教授に連れられて、Columbia UniversityのIrving Medical CenterにいらっしゃるRichard Vallee教授を訪問することもできました。この際、偶然居合わせたJames E. Goldman教授とも一緒にディスカッションをする展開になり、思わぬところで貴重なご意見を伺えたことは思いがけない収穫でした。また、所内でのポスドク候補の面接も兼ねたセミナーにも同席させてもらい、こういった積極的なディスカッションの場が多いことも、海外で研究する意義の一つかもしれません。
ニューヨーク訪問最終日には、The Rockefeller Universityの動物の言語研究で著名なErich D. Jarvis教授のもとを訪れ、こちらでもセミナーをさせて頂きました。さらに、我々が着目している仔マウスの超音波発声について、その解析方法や彼らが開発したソフトウェアの使用方法についてレクチャーしてもらいました。仔マウスの超音波発声の個性を定量するにあたり、有益なツールを得たことは大変貴重な機会となりました。
本領域からこのようなご支援をいただけたことに感謝するとともに、今後とも国際的な共同研究が発展できるように努めていきたいと思います。