活動

2018年12月14日

国際連携活動報告:Max Planck Institute 訪問記

東京大学 大学院情報理工学系研究科
特任助教 松田 孟留

2018年10月20日から11月5日まで、ドイツ・テュービンゲンにあるMax Planck Institute for Intelligent Systemsを訪問しました。現地ではProbabilistic Numericsグループの金川元信氏のもとでお世話になりました。このグループは、さまざまな数値計算の問題を統計学・機械学習の枠組みで捉え直すProbabilistic Numericsという新しい分野について、リーダーのPhilipp Hennig氏のもと研究を進めています。たとえば、機械学習でよく使われるカーネル法やガウス過程を用いて数値積分の問題を考察することで、最適な積分公式の導出や計算値の誤差の見積もりを統一的な視点から取り扱うことが可能になります。他にも、線形計算(線形代数の問題を数値的に解くこと)・最適化・微分方程式の解法などを、未知の量をデータから推定する問題と見なしてベイズ統計学を用いて定式化することで、既存のアルゴリズムの再解釈や改良について研究されています。

滞在中にはセミナー発表する機会もいただき、微分方程式モデルの推定に関して最近取り組んでいる研究についてさまざまなコメントをいただきました。応用例の1つとして、神経電位の数理モデルであるFitzHugh-南雲方程式のパラメータ推定が考えられます。

Intelligent Systemsにはロボット制御や3次元画像処理の研究グループもあり、研究所の庭にいた草刈りロボットが面白かったです。また、同じキャンパス内にはCybernetics Instituteもあり、こちらでは脳イメージングや計算神経科学の研究が行われているそうです。