活動

2017年12月18日

2017年12月6日と8日にConBio2017にて(会場:神戸ポートピアホテル)シンポジウム及びワークショップが開催されました

2017年12月6日と8日にConBio2017(2017年生命科学系学会合同年次大会)にて、大隅本領域代表(A02)と本領域計画研究代表の冨永先生および郷先生(A03)がそれぞれオーガナイザーを務めるシンポジウムとワークショップが開催されました。

【ワークショップ1PW05】

・タイトル:「個性」創発神経基盤の統合的理解に向けた階層横断的解析
・日時:12月6日(水)16:00〜18:30
・場所:第5会場(神戸ポートピアホテル 本館 地下1階 菊水)

・オーガナイザー

冨永貴志(徳島文理大学神経科学研究所)
郷康広(自然科学研究機構新分野創成センター)

・演者

Thomas Knöpfel (Department of Medicine, Imperial College London, UK)
川鍋一晃(ATR脳情報通信総合研究所)
桝屋啓志(理化学研究所バイオリソースセンター)
松本惇平(富山大学大学院医学薬学研究部)
和多和宏(北海道大学大学院理学研究院)

2017年12月6日に,神戸にて開催されたConBio2017(2017年生命科学系合同年次大会)にて,本領域のA03項目を中心としたワークショップを開催しました。A03項目では [「個性」創発研究のための計測技術と数理モデル]の構築を主な目的としています。そこで,本領域がターゲットしている人文系,生物系,理工系の広い研究分野をまたぐ新規の解析を,[「個性」創発神経基盤の統合的理解に向けた階層横断的解析]とのタイトルで,A03項目の計画研究班から郷(自然科学研究機構新分野創成センター),冨永(徳島文理大神経研)がオーガナイザーを務め議論しました。
イギリスICLのThomas Knöpfel先生には,Knöpfel先生が世界に先駆けて開発された遺伝子組み込み膜電位指示蛋白(GEVI)の基礎から応用面,特にマウスの全脳の経頭蓋条件で安静時の自発的脳活動の長期計測まで広い視野からお話いただきました。ATRの川鍋一晃先生からはヒトを対象としたEEG, NIRS, fMRIデータの新規の解析手法をご紹介いただき,特に多くの方を対象としたビッグデータの解析からヒトの脳の「個性」を抽出出来るというお話をいただきました。また,理研BRCの桝屋啓志先生からは,理研BRCで蓄積されている様々な遺伝背景を持つマウスの形質に着目したデータベースの構築について,その課題も含め詳細なご紹介がありました。富山大の松本惇平先生からはマウス,ラットのマーカレス3次元計測という新規の計測手法の開発について実際の計測例を基にご紹介頂きました。さらに,この手法を使ってマーモセットでも同様の計測が可能であるというデータをお示しいただきました。北大の和多和宏先生は,ソングバードの歌の獲得において「歌わせない」というような様々なユニークな手法を適用したときの,神経回路機構から遺伝子発現解析まで網羅解析を行ったデータを紹介いただきました。
演者の専門分野はそれぞれ異なりますが,さまざまな解析方法を駆使して大規模な「ビッグデータ」を階層横断的に取得し,データ駆動型アプローチにより,定量的・階層横断的に理解するという目的においては非常に重なる点が多く,「個性」の創発機構を中心とした今後の共同研究の萌芽となるワークショップとなりました。

ワークショップディナー

【シンポジウム3AS09】

・タイトル:Frontiers in technology for neuroscience
・日時:12月8日(金)9:00-11:30
・場所:Room9 (Kobe Portopia Hotel Topaz South Wing B1F)

・Organizers:

Kozo Kaibuchi (Nagoya Univ)
Noriko Osumi (Tohoku Univ)

・Speakers:

Taku Nagai (Nagoya Univ)
Naoki Matsuo (Osaka Univ)
Yuji Tsunekawa (RIKEN CDB)
Itaru Imayoshi (Kyoto Univ)
Goncalo Castelo-Branco (Karolinska Inst)

2017年12月8日に、神戸で開催されたConBio2017(2017年生命科学系合同年次大会)のシンポジウムの1つとして、名古屋大学の貝淵弘三先生と領域代表の大隅がオーガナイザーを務め、シンポジウム「神経科学研究技術の最前線」を開催しました。
貝淵先生からのイントロダクションの後、前半2題の座長をお務め頂き、名古屋大学の永井拓博士からは、各種神経回路標識ウイルスベクター等も駆使した多角的な手法により報酬関連行動におけるシグナル伝達経路について、大阪大学の松尾直毅博士からは、記憶形成に関わる神経細胞アセンブリに関して光操作ツールを用いた研究成果について発表頂きました。後半3題は大隅が座長務め、理化学研究所の恒川雄二博士により、マウス大脳皮質構築メカニズム研究のための子宮内遺伝子導入法とCRISPR/Cas9を用いた新規の遺伝子改変技術が紹介され、次いで本領域A02項目に所属する今吉格博士(京都大学)より遺伝子発現を操作するための光操作技術と神経幹細胞研究への応用についての講演がなされ、最後は、カロリンスカ研究所のGoncalo Castelo-Branco博士により1細胞遺伝子発現網羅的解析技術(single cell RNA-seq)を駆使したオリゴデンドロサイト分化系譜の研究について発表されました。
いずれも新進気鋭の若手研究者による最先端の研究発表であり、多数の聴衆に恵まれ盛会となりました。このような多様な研究手法は、本新学術研究領域のテーマである「個性」の創発機構を理解する上で欠かせない技術です。シンポジスト間での議論は、夜のスピーカーズディナーまで続きました。次世代を担う若手のネットワークの今後の展開にも期待します。

今吉先生@シンポジウム、Goncalo@シンポジウム
シンポジウム集合写真
シンポジウムディナー

ConBio2017

http://www.aeplan.co.jp/conbio2017/

2017年度 生命科学系学会合同年次大会