活動
2018年11月28日
「第1回脳の神経回路ネットワークの機能とその生成研究会」(徳島文理大学神経科学研究所2018年度第2回セミナー)報告
徳島文理大学神経科学研究所
教授 冨永 貴志
2018年11月22日(木),23日(金),徳島文理大学香川キャンパス徳島文理大学神経科学研究所での,研究打ち合わせ,実技デモンストレーションを行うとともに,徳島文理大学香川薬学部棟会議室において一般公開セミナーを開催した。
現在,徳島文理大学神経科学研究所の冨永(A03計画研究代表)と具体的な共同研究を推進しているA02領域の計画研究代表の中島(九州大学大学院),星野(国立精神神経医療センター),A03領域の計画研究班からは種村(東北大学大学院)が参加し,当研究所で実行可能な実験について,具体的な研究室設備,実験中の生データを見聞・討議を行った。また,22日(木曜)午後15時から18時までは,中島は「胎生期バルプロ酸暴露によるけいれん感受性増大とその改善法」,星野からは「動物モデルを用いた、神経回路網形成とてんかん、そしてその治療法の研究」,種村からは「発生発達期の神経シグナルかく乱による脳機能不全モデルの開発(幼若期マウスへのネオニコチノイド投与によって遅発的に顕在化する行動異常)」として,主に新学術領域「個性」創発脳での研究に関連した成果について発表があった。
中島からは,神経幹細胞からの神経分化という基礎的な内容から,脊椎損傷モデルでの修復まで広い視点での様々な手法に渡る大規模な研究を,学生にもわかりやすい言葉で解説した研究紹介があった。また,星野からは,てんかんを中心に,精神疾患モデルマウスを使った病態の解析から,責任遺伝子の1アミノ酸変異の関与,さらには治療法の提案にいたる非常に網羅的で具体的な研究紹介が解説された。また,種村からは,毒性学についてのイラストなどを用いた印象的なイントロダクションから始まり,神経遅発毒性の解析例,OECDへの毒性評価システムの提案にわたる研究-政策提案にまでいたる立体的な研究紹介がなされた。会場には,徳島文理大学教員・学生だけではなく,近隣大学(広島大学,香川大学など)からの教員・研究者を中心として30~40人程度が集まり,公開セミナーの途中と最後に設けたコーヒーブレークでは,活発な議論がなされた。
神経科学研究所では,光計測を行うための実験装置群,スライス標本作成台,工作設備,電気回路作成設備などを見学し,簡単な実技のデモンストレーションを行い,具体的な共同研究計画について実験装置での生データを見ながら討議することができた。
研究所設備のほか,徳島文理大学香川キャンパスの地理的な位置関係なども,動物搬入の予定を立てる上で具体的なイメージを共有することができ大変有意義な会合となった。
23日(金)は,当初光計測を実際に行う実習を予定していたが,22日の討議で十分な議論ができたため,2019年8月1日(木),2日(金),3日(土)に香川県琴平で開催する第4回領域会議の会場の確認に出向いた。高松市内から1時間ほどで琴平に到着し,会場となる琴参閣で会議室,食事会場など館内の案内をしてもらい,スクリーン位置,ポスター展示スペースに至る細部まで細かい打ち合わせを行った。その後,会場から歩いて数分のところにある「こんぴらさん」や,琴平駅などを視察し,2019年の第4回領域会議の準備状況を確認し,開催に向けて大きな前進をみることができた。
さらに23日午後からは冨永班内の打ち合わせとして冨永と種村の間で,今後の研究推進に必要な実験機器の設置や運用について実験装置の実物を使った討議が行われ,さらに現在進行中の系統間脳機能差を個性計測のモデルとする研究結果について生データを使って深い討議をおこなった。
セミナーの案内(香川薬学部棟ロビー)
一般公開セミナー会場風景
セミナーを終えた後,左から冨永,星野,中島,種村