活動

2020年5月18日

第3回市民公開講座「日本人の〈個性〉について考える―人類進化に基づく日本社会とは―」の報告

原 塑

2020年3月15日(日)に、東京大学本郷キャンパス山上会館大会議室において、第3回市民公開講座を開催しました。この会場の収容人数は120名で、多くの方の来場を見込んでいました。ところが、講座の準備を進めていた2月中、新型コロナウィルスの問題が日本国内でも大きくなり、多くの学術イベントが次々と中止になっていきました。新型コロナウィルス感染症の患者さんが現れ、その数が増えるたび、社会の側には何らかの対応をとることが求められますが、数日先に何が起こるのかを見通すことは難しく、はたして講座を開催することができるのかは、当日になるまでわかりませんでした(実際、講座開催日からしばらくたって、学外者が東京大学に入構することはできなくなりました)。そのような不安な社会情勢の中、ほんの少しの方にご来場いただく以外には、インターネットを通じた同時中継によって、一般の方々に講演会を広く視聴していただくことに決めました。

講演会のインターネットを通じた同時配信を行った経験が講演会企画者にはなく、講演会の実施にはかなりの困難が伴うのではないかと思っていました。ところが、研究計画班に所属されている東京大学大学院情報理工学系研究科の駒木文保先生と駒木先生の研究室の皆様、特に倉田澄人先生が、次々に起こってくる技術的問題を的確に解決してくださり、オンラインの講演会を成功裏に実施することができました。駒木先生、倉田先生、駒木先生の研究室の皆様にはあつく御礼申し上げます。また、例年と同じく、国立精神・神経医療研究センターの星野幹雄先生と研究室の皆様には、当日の会の運営に対して多大なご助力をいただきました。どうもありがとうございました。

今回の市民講座のテーマは日本社会です。社会に関する研究をこれまで主に手がけてきたのは人文社会科学ですが、現在では、社会構成員のゲノムの観点から、社会のあり方やその構成員の思考傾向・行動特性を研究することができるようになってきました。その成果は、社会心理学のような、社会を扱ってきた従来の人文社会科学分野の研究にも、大きな影響をあたえはじめています。そこで、この新学術研究領域に所属されているお二人の先生、河田雅圭先生(東北大学大学院生命科学研究科)と高岸治人先生(玉川大学脳科学研究所)を講師とする講座を企画しました。固定されたカメラの前から全く動かずに、長時間お話しいただくという厳しい条件のもと、大変、興味深いお話をお聞かせくださり、ありがたく思っております。この講演会の動画記録が、以下のURLに掲載されています。

インターネットを通じた講演会の同時配信を視聴くださった人数は、常時だいたい70~100名で、2回の市民公開講座の各回に会場にご参集くださった方々の人数とあまり変わりなく、またインターネットを通じて、多くのご質問をいただくことができました。このことを考えると、十分な準備を行えば、一般市民向けのオンライン講演会を、通常の形態の講演会と遜色ないものにできることがわかりました。また、動画記録の再生回数は、現時点までに、1000回を超えています。通常の講演会では、来場された方々から、直接、感想やコメントをいただき、その場で双方向の議論をすることができることが大きな利点ですが、オンラインの講演会には、より多くの人々にリーチできるという長所があることがわかりました。

  • 第3回市民公開講演会立て看板

  • 司会を務める原

  • 領域代表大隅挨拶

  • 高岸先生ご講演のお姿

  • youtube配信手元の様子

  • 河田先生ご講演のお姿

  • 間隔を取り、聞き入る聴衆

  • 質疑応答中ご談笑のお二人

  • 大隅と講演者お二人の対談

  • 運営メンバー集合、マスク姿にて

  • 運営メンバー集合