活動
2016年10月7日
ニホンザルで自閉スペクトラム症の特性を確認 自然発生例ではヒト以外で初めて
~医学・脳科学・ゲノム科学が協力して解明~
本研究成果は、米国のオンライン科学雑誌『Science Advances』(9月21日付け)に掲載されました。
自閉スペクトラム症は、対人コミュニケーションおよび相互作用の障害と興味・行動活限局や反復的な行動により定義される発達障害です。
今回、当新学術領域A03項目の計画研究代表者である郷康広(自然科学研究機構 新分野創成センター ブレインサイエンス研究分野)研究グループは、磯田昌岐教授(生理学研究所)、吉田今日子医師(湯河原病院)、入來篤史シニアチームリーダー(理化学研究所 脳科学総合研究研究センター)、尾崎紀夫教授、久島周特任助教(名古屋大学大学院医学系研究科)らとの共同研究において、社会性(対他行動)に特徴があった1頭のニホンザルの行動を詳細に調べることで、このサルが自閉スペクトラム症の特性と類似した行動特徴をもつことを発見しました。さらに、このサルの脳で神経細胞の活動を実際に記録したところ、前頭葉内側部における他者の行動情報の処理に関わる神経細胞が極めて少ないことが明らかになりました。さらにこのサルでは、自閉スペクトラム症を含む精神障害にみられる遺伝子の変異が同定されました。この報告により、世界で初めて、ヒト以外の動物で自閉スペクトラム症の特性が自然に存在することを確認したと考えられます。