活動

2020年7月27日

計画研究A02中島班の松田 泰斗さんが2020年度日本神経科学学会奨励賞を受賞しました

本領域計画研究A02中島班の九州大学 大学院医学研究院 基盤幹細胞学分野 助教 松田 泰斗さんが2020年度日本神経科学学会奨励賞を受賞しました。

日本神経科学学会奨励賞は、学位取得後原則10 年以内の若手研究者を対象として、将来日本神経科学学会で活躍することが期待される会員を奨励することを目的としています。また、個々の論文を対象とするものではなく、申請者の研究実績、研究構想と発展性を評価して選考されます。論文数の出やすい分野に偏ることなく、幅広い分野から若手の研究者を奨励するものです。

日本神経科学学会の受賞記事はこちら

●受賞者のコメント

松田 泰斗
九州大学 大学院医学研究院 基盤幹細胞学分野
松田 泰斗

このたび「成体脳における自然/人為的なニューロン新生」について、2020年度日本神経科学学会奨励賞を賜りました。対象研究について、研究を展開する機会を与えて下さった九州大学大学院医学研究院の中島欽一教授、共同研究者の先生方、一緒に研究を進めてきた中島研の学生のみなさんには、この場をお借りして心より感謝申し上げます。また本研究は、新学術領域「個性」創発脳の支援によって実現できました。大隅典子先生をはじめ班員の皆様にお礼申し上げます。

成体脳の海馬に存在する神経幹細胞は、新しいニューロンを供給し、海馬神経回路を補填することで、学習・記憶能力の維持に貢献しています。私はこれまでに、この「自然な」ニューロン新生が、神経疾患病態下で破綻する原因を解明し、その改善法を開発してきました。一方で、「自然な」ニューロン新生は、海馬を含めて一部の脳領域でしか起こらないため、損傷や疾患が原因で失われた脳機能を完全に回復させるためには、「人為的な」ニューロン新生の誘導も必要と考えました。そこで、神経損傷部位に集まる性質のある免疫細胞ミクログリアに着目し、本来はニューロンへ分化しないミクログリアからの「人為的な」ニューロン新生法を開発しました。今後は、細胞の個性が「自然/人為的な」ニューロン新生にどのような影響を与えるのかを調べるとともに、さらにそれが、個体の個性創発にどのように関わるのかを明らかにしたいと考えています。皆様から賞を与えて良かったと感じていただけるよう精進していく所存です。引き続き、よろしくご指導のほどお願い申しあげます。